» シチリア食文化の紹介(4)
ロメインレタス(コスレタス)が地中海コス島発祥とのことから、シチリア島もリーフレタスの産地であり、その島の食についてレポートしていますが、今回はレタスは出てこないメニューのお話です。
現在のウィズファーム草津のドームの中は、夏の日照不足や病気からも回復して、水耕栽培のリーフレタスがすくすくと育っています。
さて、シチリア西端のトラーパニでマンマが作る美味しい伝統料理、トラーパニ風クスクス のご紹介。
REIの料理教室@東京にて11月27日に習ったものです。
クスクスは各地で食べられていますが、シチリア島トラパニ県の西海岸でいただく魚介のクスクスは飛び切りの美味しさです。この地でなければ味わえない手打ちのクスクスは一生に一度は食べてほしいトラーパニの味です。
クスクス粉(セモリナ粉の粗挽き)に水を少しずつ加えて手でかき混ぜ、粟の粒状から小さな塊になってきたらキャンバス地に広げて乾かします。このクスクス粉はトラーパニから持ってきたもので、日本で売っている「セモリナ粉の粗挽き」では上手く作れませんし、市販の「クスクス粉」では別物ができてしまいます。
乾いたらボウルに戻し下味を付けます。炒めた海老を加え、シナモンパウダー、唐辛子パウダー、イタリアンパセリのみじん切り、オリーブ油に塩胡椒を入れ、全体に馴染むようによく混ぜます。
そしてクスクスシエラ(クスクス専用鍋)の出番。これは日本では深さのある蒸し鍋で代用できます。
調味したクスクスをクスクスシエラに詰め、ところどころにローリエの葉を挿していきます。水を張った鍋に載せて1時間半蒸すのですが、下の鍋とクスクスシエラの間に隙間があると蒸気が逃げるので、薄力粉と水を練ったものを貼り付けて塞ぎます。蒸気が漏れない蒸し器ならその必要はありません。蒸気が出始めたら布巾をかぶせて水滴が落ちないようにします。
クスクスを蒸している間に、クスクスに吸わせまたかけて食べる魚介出汁(ズッパ ディ ペッシェ)を作ります。新鮮な白身魚が基本です。青魚やマグロ類は臭みが残るので。魚は丁寧に下処理をしておきます。
まず、にんにく・イタリアンパセリ・アーモンド・水をミキサーにかけてグリーンソースを作ります。鍋でスライスたまねぎを炒めグリーンソースを入れ、パッサータ(ホールトマトの裏ごしでも良い)・シナモンパウダー・唐辛子パウダーと水を加え、30分程度煮込みます。クスクスが蒸しあがる30分前に魚を投入、15分程煮て魚はバットに取り出しておきます。
形が崩れた魚はいれたままで最初の海老の頭(味噌は臭みになるので取り除きます)を入れ15分程煮込み、最後にブロードを目の粗いザルで漉してスープの出来上がりです。
蒸し上がったクスクスを大鍋(蓋付き)に空け、ズッパ ディ ペッシェを少しずつ注ぎ、しっかり混ぜます。
クスクス全体がしっとり湿ったら、鍋に蓋をして密閉し、毛布でくるみ30分以上馴染ませます。
取り出した魚は身を解してクスクスの上に載せます。別に烏賊のフライを作っておくと重宝です。
その他、前菜用に トラーパニ風ペースト と ドライトマトとケッパー のペーストも作りました。
トラーパニ風ペーストはすり鉢ににんにく+塩を入れてクリーム状になるまですり潰し、バジル・アーモンドも加えて米粒程度まですり潰し、更に湯剥きして種を取り除いたトマトを少しずつ加えて全体が滑らかになるまですり潰します。ボールにあけて、オリーブオイルを数回に分けて加えながらよく混ぜ、味を見て塩を足します。
パンに載せたり、手づくりショートパスタのブジアーテのソースとしてよく食べられるものです。この地の赤にんにくは塩田近くの土地で栽培されているためミネラル分が多く、風味豊かでパンチがあります。
赤白ワインともトラーパニとシチリア島南西部のマルサラの間にあるワイナリー産で日本でも通販で購入できますが、しっかりした美味しいワインでした。前菜にはペコリーノチーズとオリーブもまろやかな味でした。
投稿日 : 2016年11月28日