» シチリア食文化の紹介(3)
シチリア島トラーパニ在住の料理研究家:REIさんによる「REIの料理教室 in TOKYO」です。
今回のテーマは パレルモB級グルメとオヤジ食堂
ゲーテをして「世界一美しいイスラムの都市」と言わしめ、シチリア州都にして最大の都市:パレルモは地中海交易で栄え、貴族も庶民もエネルギッシュ、宮廷料理から伝統料理、庶民の家庭料理に至るまで豊かな食文化を誇っています。
また、「ヨーロッパで最もストリートフードが美味しい街」とも言われています。
そのストリートフード=「B級グルメ」とは安い材料で美味しく腹を膨らませる庶民の料理ですが、巨大な郷土市場の屋台や庶民の食堂タベルナ等=「オヤジ食堂」で提供されます。「早い・安い・旨い」のです。
パーネ・カ・メウサ(Pani Ca Meusa)なるモツバーガーは茹でた脾臓をラードで煮てレモンを絞りパンに挟んだものでストリートフードの代表格ですが、今回はその他の魅力的なB級グルメを調理・実食しました。
1.パネッレ Panelle ・・・ 溶かしたひよこ豆粉を中火で練って大皿で薄く延ばし、菱形に切って揚げたもの。
イタリア各地の港町に、船乗りが伝えたか、同様な伝統料理があります。
2.アランチーニ Arancini ・・・ サフランで色づけたライスコロッケ、中にハム・チーズ入り。
バターライスを水から煮て、バットにあけて溶き卵とパルミジャーノすりおろしを混ぜ、塩胡椒で調味してしっかり冷ます、形作る折にはしっかり握るのがコツです。俵型ではなく円錐形。
3.白い、アンチョビとモッリーカのパスタ(Pasta con anciova e mollica in bianco)
モッリーカは「貧乏人の パルミジャーノ」と言われ、シチリアではパスタの横にはよく置いてあります。店によってはタダのパン粉のような味もありますが、まず細挽きパン粉を色づくまで炒めて取り出し、オリーブオイルとアンチョビ1枚を入れて潰しながら溶かした上に炒ったパン粉を入れてさくさくになるまで炒めると美味しいものになります。
にんにく、アンチョビ、松の実、干しブドウのパスタにこのモッリーカをかけて食べます。
フェンネル(ういきょう)の葉をくったくたに茹でて入れても合います、ゆで汁でパスタを茹でて。
4.パレルモ風茹で肉のサラダ(Insalata di bollito alla palermitana)
5.パレルモ風肉じゃがのパスタ(Pasta con glassa)
茹で肉は、深鍋に牛肉とたっぷりの水を入れ中火で沸騰前に灰汁をすくい、香味野菜を加えてコトコト煮る。今回の葉物野菜はウィズファーム草津:水耕栽培のフリルレタス・ロロロッサ・グリーンリーフを提供し、使用して貰いました。ドレッシングはオリーブオイル・塩胡椒・レモン汁だけですが、アンチョビやオリーブの味が効き、茹で肉がたっぷり載っていて贅沢な、山盛り食べたいサラダでした。
肉じゃがパスタは日本の残り物の肉じゃがとは別の味、白ワイン・ローズマリー・セージ・ローリエが入るだけで想像以上にイタリアンでした。じゃがいもをつぶれるくらいに煮るのがコツで、パスタと絡んで食べやすかったです。
6.豚肉とネギのスティッギョーラ風(Maiale alla stigghiola)
7.レモンのソルベット(Sorbetti di Limone)
こういう場所で食べるなら大丈夫そう。
スティッギョーラはイタリアンパセリの茎ごと羊の腸をぐるぐる巻きにして炭火で焼いたもの。屋台で食べるにはちょっと勇気がいります。旅行中にお腹を壊すと悲しいので。でも美味しそう。
それに見立ててネギを豚バラ肉でぐるぐる巻き、オリーブオイルをかけて180℃で15~20分オーブンで焼きます。我が家では忙しい夕飯時にはフライパンで焼いたりもしますが、オーブンの方がネギに肉の旨味が染み渡り美味しいです。アスパラを巻いても美味しいです。
ネギは普通のもので良いけれど、豚バラ肉は吟味した良いものを使うのがコツとのことです。
ドルチェはレモンのソルベ、グラニュー糖を溶かしながら暖め、冷めたらレモン汁と合わせて冷凍庫でじゃりじゃりに固めます。卵白を泡立てじゃりじゃりと合せ、更に冷凍庫で冷やします。つるっと飲める位ですが、レモンの香りが爽やかでした。
シチリア料理教室のその部屋に入るなり皆さんシチリアのノリになり、食いしん坊のお友達になります。今回は「パレルモB級グルメ おやじ食堂」というテーマでもあり、屋台に集まった人々のように和気藹々でした。食に拘りのある人々が水耕栽培に興味を示して下さったことも嬉しかったです。
REIさん、皆さん、ありがとうございました、ごちそう様でした!
投稿日 : 2016年5月17日