» シチリア食文化の紹介(2)
東京にて開催されたシチリア南東部の伝統料理教室に参加してきました。シチリア西端のトラーパニにて料理教室でお世話になったREIさんが里帰り出張講師です。
南東部といえば陶器の町のカルタジローネからラグーザ、じゃりじゃりチョコのモディカ、ノート、シラクーサ辺りまで含まれます。1693年の大地震後に統一したデザインで再建された街が、後期バロック様式の世界遺産となっています。
地中海貿易で栄えて資産があったからこのように美しく再建できたのでしょうか、建物の細部に至るまで見どころ満載、バルコニーの持ち出し床梁の彫刻など街歩きがそのまま美術鑑賞です。また、各都市は深い谷で隔てられ古い食習慣も残っています。
内陸であるラグーサ、モディカ地方は酪農が盛んで、料理も豚肉・牛肉が主になります。また、シチリアの他の地方は羊が主でリコッタチーズも羊乳からが多いのですが、こちらでは牛乳からの濃厚なリコッタチーズもいただけます。
南東部の伝統料理ということで「小麦文化」と「豚肉文化」の料理を習ってきました。
1.パスティエーラ Pastiera ・・・しゅうまいの様な肉まんで復活祭の食べ物
2.スカッチャ Scaccia ・・・折りたたみ式パニーニです。scacciareには潰すという意味があります。
セモリナ粉(硬質小麦)とぬるま湯に僅かの生イーストと塩だけで、捏ねて捏ねて基本の生地を作り、
1.は豚ひき肉とパルミジャーノチーズで作った餡を包み、2.はトマトの裏ごし、玉ねぎ、カチョカバッロチーズを中身にして折りたたみ、180度のオーブンで25~30分焼きました。
どちらもしっかり閉じておかないと、焼き上がりに口が開き、今回はやや失敗!
イタリアンパセリが効いて日本人には好まれる味でした。これで3人分ですが結構満腹です。
3.ロッリ ケ ファーヴェ Lolli che fave ・・・モディカ風 ソラマメのスープパスタ
セモリナ粉と水だけの手打ちパスタ、湿度が少なくなかなか纏まらないので、手に水をつけつつ力強く捏ねました。日本では腰を使ってと言いますが、あちらでは「肩を使って捏ねる」と。肩が懲りそう・・・。
1.2.3とも打ち粉はしません。
ショートパスタのロッリは細い紐状にして指3本で掘る様にくぼみを形づくります。難しい。
乾燥ソラマメは日本ではあまり見かけませんが、春にはフレッシュなもので作れます。黒い爪を外して。
人参・玉ねぎ・セロリの粗みじん切りを炒め、水に浸しておいたソラマメを水ごと入れてスープを作り、唐辛子やローズマリーを入れてじっくり煮込みます。そのスープにロッリを入れ、12分位茹で、器によそったらオリーブオイルを垂らして出来上がりです。
※乾燥ソラマメはポレンタのようなペースト状にして食べる方が美味しいと思いました。
4.豚ごろごろソースのパスタ Pasta al Sugo di Maiale
豚の色々な部位を一口大に切り玉ねぎと炒め、赤ワインとトマトの裏ごしで煮込んだソースです。現地で食べるともつやら何やら色々な部位が入り豚肉料理の極め付きのように美味しいです。
日本の教室ではバラとももの各ブロックが用意されましたが、それでも美味しくてあっという間にたべました。パスタはシチリア生まれのカサレッチョというショートパスタでした。
豚肉にはフェンネルシードが効いて、臭み消しは言うに及ばず殺菌にもなり、美味しさ倍増になりました。 日本のスーパーにも欲しいですね。
5.豚肉のインボルティーニ イブレア風 Involtini di Maiale All'IBlea
イブレアと言えば私の世代ではオリベッティ社=トリノの北とひらめき、あのタイプライターの軽快な音楽が流れてくるのですが、Hybla→Iblaと言葉の変遷があり、ラグーサのことだそうです。
インボルティーニは包むという意味で、包んで焼いたものです。茄子や鰯、鶏肉でもよく作ります。
生姜焼き用豚ロース肉を広げ、中に豚ひき肉やゆで卵、パルミジャーノ等で作った餡を包んで焼くものです。
翌日夕飯に早速作り、翌々日のお弁当のおかずにしました。餡が独特で、冷めても美味しかったです。
付け合せはセロリの葉、人参とシチリアからのオリーブです。
6.シナモンのジェーロ Gelo di Cannella ・・・ゼリーは教室で用意されたものです。
簡単にできてそれほど甘くも無く、あっさりしていました。茶色の穂のようなものはシナモンの皮です。チョコで同じようにしたら、子どもも喜ぶでしょう。
今回はコーンスターチを用いましたが、シチリアでは麦のスターチを使うそうです。
シチリアはパレルモ付近のコンカドーロとエトナ火山の麓以外は土地は肥えていないと思っていたのですが、「とうもろこしを作るほど土地は痩せていない」そうで、シチリア産のコーンスターチは無いとか。
シチリアの人はイタリア北部の人を「ポレンタ食い」と言うそうで、互いに誇り高い人々です。
確かに温暖な気候は北部に負けていませんが。
おまけの画像です。
7.教室で用意して下さった先生の農園で今年採れた貴重なオリーブオイルと1杯目の地元赤ワイン
8.前菜のサラミとチーズ
9.2杯目の赤ワイン、これは日本に入ってないそうですが、抜群でした。
お昼にこれだけ食べて飲んで、お腹を抱えながら帰ると夕飯に何も作る気なし、遅くなってやっと何かつまもうかと思いました。
何にしようかと考えたら、流石に体が足りないものを欲しているようで、リーフレタスを半株むしゃむしゃと食べて満足な一日を終えました。
投稿日 : 2015年11月10日